天空巡礼

September 14 [Fri], 2012, 6:46


2012年8月28日にエサレンワークショップの受講のため、ハワイ島に出国。先ほど帰国。
飛行機から見た景色を、到着当日の夜にしたためた文章が、ようやく吸い出せたので、とりあえず書き込んでおきます。


〜・〜・〜・〜・〜・〜

飛行機は久しぶり。
なんとはなしに、ぼーっとガイドブックを見ていたら、世界中の天文台の集まるマウナケアの山頂に、満天の星と日の出を見に行くツアーがあるらしい。
ものすごく寒いって書いてあるし、そしてそれを経験上リアルに想像できるので、多分行かないけど。

ふと、飛行機の窓の外を見たら小さな星が見えた。
乗客の大半は眠っている。明かりも必要最低限。
音を立てずに、脇から光が入らないようにして窓にじっと張り付いて、夜空を見あげてみた。
だんだん目が慣れて、凍るような大気の上に、たくさんの星が見え始める。

成層圏では星はまたたかない。
光を揺らす大気さえほとんどない。
どこまでも透明な宇宙の入り口。真っ暗で孤独で純粋な闇。
それは星々の共鳴し合う音さえ聞こえてきそうな、神聖な静寂。

泣きたくなるくらい自分を研ぎ澄ましてくれるこの宇宙の静寂に、どうしようもなく魅了される。
完全さとか、神聖さとか、調和とか、人が求めてやまないものの純粋な世界に、ほんの少しだけ触れる。
たった手の平一枚分の、このガラスの向こう側にある、決して触れ得ぬ世界。

成層圏から見る星空なんて、天文家の夢みたいな出来事なのに、日常を切り取ったまま運ぶこの乗り物の中では、誰もそれに気が付かない。
この日常を守るのは、ほんの薄く小さく儚い殻。
その向こう側にある、気温マイナス50度、高度11000メートルの聖地。
それを窓から眺めることしかできない巡礼者。

やがて地球の形をなぞるように、薄明が水平線を浮かび上がらせ、世界を二つに分ける。
境界線が完成するまでのわずかな時間、世界が見せる変容から、目を離せずにいた。

宇宙の闇から、地球が隔てられる時、空は虹のスペクトルの光に、それぞれ徐々に分かたれて切り離されていくのを知った。
やがて桃色に端をたなびかせ、柔らかな稲穂のように、黄金色に霞む雲海。
世界が生まれる。

日の出だけは何度見てもいい。
とても深い満足に至った。


余談だが、ニュートンの最大の発見は万有引力ではなく、スペクトル分光の発見だったという説がある。
彼はその技術を用いて、夜空の恒星からやって来る光を分析し、それ等を構成している組成元素を明らかにした。

遠く宇宙の果てで輝いている星々が、地球と同じ炭素や窒素等からできていることを証明したのだ。
これによって彼は、それまで神話の世界の一部だった宇宙の向こう側の世界が、自分たちと同じ世界の一部であることを解き明かした。
それまで小さく閉じていた人類の意識を、より広大な枠組みの中に拓いたのだ。
これは切り離されていた宇宙と世界がつながる、コペルニクスに匹敵する人類の意識の転換だったはずだ。

光は世界を闇から分けて、彼我を隔てて個を明らかにする。
隔てられたものが、やがて光を通して一つにつながり、より拡大されて、その構造と真実を啓く。
物質世界の体験が、分かたれ、統合され昇華し、魂を開いていく過程によく似ていると思った。
そんなもの思う旅の始まりの朝。


ありがとう。









 
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