今日もよく生きた。
感動の多かった一日は、実り多き一日だ。
生きることは感じること。生きることは動くこと。
多く感じ、たくさん動いたのなら、即ちよく生きたこと。
午後の対話をする中で、生きるということについて思うことがあった。
生きる真剣さとはなんだろうか。何を持ってそれを示すのか。
午後の来客は遠方に住む古い友人で、作家だ。
アーティストはその作品で、自らの熱を語らしめることが出来る。
その幸運なギフトを持って、ここにやってきたまま、なかなか世に出れないことを嘆いている。
結果とはそれほど重要なものだろうか。
もちろん重要には違いない。それが全てだと言う人もいるだろう。
しかし他の誰かにとってはそうであっても、本人にとっては本当にそうだろうか。
結果はあくまでも結果でしかない。
それがそこにあったという記録であり、証なのだろう。
それはなんだか、芳香の残り香であったり、輝きの残光に似て、
実際にはその実体はすでにそこにないように思える。
アーティストはその輝きを、失われないように作品に閉じ込めることに成功した人間だ。
だから本当に価値ある作品、創作物には、生命の輝きと、宇宙にあまねくある不変の煌きのような力が感じられる。
即ちその閉じ込められたものこそが、生きる意味なのではないかと漠然と感じていた。
そんな中、その後立ち寄った店で、大好きな作品の復刻版のペーパーバックが出ていた。(購入)
『天』(福本伸行)の中のラストに出てくる、天才博徒アカギの最期。
このアカギの生き様が好きだ。この作品もまた、おそらくは閉じ込められた輝きの欠片。
人の理解を超えた狂人、あるいは神に近い天才の、その焼け付くような足跡が、真に生きるということに殉じた者の信念を伝える。
揺るぎないものを持って生きる人の生き様に、いつも救われる。
偽ることなく己に殉じることを、怖れず躊躇わずにいつも生きていたい。
そのアカギが語った言葉が響いた。
今日感じたものの答えは、ここにあった。それをシェアしたい。
「命ってのはすなわち…
輝きなんだから
輝きを感じない人間は
命を喜ばしてないんだな…
ってすぐ分かる……!
どうして命が喜ばないかといったら…
これまた…ひどく単純な話……!
要するに…
動いてないのだ…!
命の最も根源的特長は
活動…動くってことだ…!
動かなくなったら即 死なんだからよ…!
それは微生物から人間まで変わらない…
たぶん…」
「才能みたいなことと…
命は関係ねえだろ……!
いわゆる凡庸なヤツの中にも
輝いてる者は沢山いる……!
いるさ… いくらでもいる…!
楽しむか…楽しまないかだけだ…!
勝負するってことよ…!」
「そんなに悪いかな……?
傷つくって…!
思うようにならず…
傷つく…っていうか…
イラつくっていうか…
そういうの……
悪くない……!
まるで悪くない…!
俺は…いつもそう考えてきた…!
痛みを受ければ
てめえが生きてるってことを
実感できるし…
何より…
「傷つき」は奇跡の素…
最初の一歩となる……!
大抵の奇跡…偉業は…
初めにまず傷つき…
そのコンプレックスを抱えた者が
通常では考えられぬくらいの
集中力や持続力を発揮して…
成し遂げるものだ…!
つまり…
天才とかいわれる連中の正体は…
みなその類の異常者…!
さらりと生きていないっ……!
あいつらもさらりと生きていない……!
結局…
ハナっから勝つ人…
負ける人なんていないんだ……!
結果…
表れるだけ……!
勝ったり負けたりが……!
決めるなよ…
自分が勝てないなんて…
決めるなよ……!」
「誰だって成功したい……!
分かりやすい意味での成功…
世間的な成功…!
金や地位 名声…… 権力 賞賛……
そういうものに憧れる… 欲する…!
けどよ……
ちょっと顧みれば分かる…!
それは「人生そのもの」じゃない…!
そういうものは全部…
飾り…!
人生の飾りにすぎない…!
ただ…
やる事…
その熱…
行為そのものが…
生きるってこと……!
実ってヤツだ…!
分かるか…?
成功を目指すな……と
言ってるんじゃない……!
その成否に囚われ……
思い煩い……
止まってしまうこと……
熱を失ってしまうこと…
これがまずい……!
こっちの方が問題だ…!
いいじゃないか…!
三流で…!
熱い三流なら 上等よ……!
まるで構わない……
構わない話だ…
だから…
恐れるな…!
繰り返す……!
失敗を恐れるな……!」
自分にぶれずに生きている人間は強い。
生きることに真剣に向き合った者だけが、生の実を受け取ることができる。
まっすぐに恐れずに立ち、感じていたい。
今日読んだもう一冊は、同じくペーパーバック復刻版の「北斗の拳」。
同じく理想の死に様の一つ、ラオウ。人生の最期にこう言って往けるものは幸せだ。
真剣に生を生きたものだけが口にできる言葉。かく在りたい。
「我が生涯に一片の悔いなし!!」
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