暁にひらく。
全てを愛したまま、全てを受け入れて生きて行こう。
真っ暗な新月の夜に、台風が島を掠めて通った。
波飛沫が堤防の上まで届くまだ荒れた海。
その上に広がる穏やかな空。
風が禊ぐ夜明け。
首筋を擦り抜ける波風に、一つ一つ剥がされていくものを聞く。
積み上がったものを捨てよ。
たとえ一時纏ったとしても、それを留めようとしてはいけない。
何も纏わずともここにあるもの。
あなたの心だけに触れていなさい。
沢山の良き言葉が、あなたを洗うのにまかせなさい。
やがていつか、何も持たずに全てを愛せるようになるだろう。
彼我の境を持たず、あなたは花に、波に、風の中に生きるだろう。
自分を生きるとは、自分に気付いて生きること。
望むと望まないとに関わらず、物事はあるべき様にここにある。
意識せず遠ざけたものが、脱ぎたかった鎧となってあなたをここに縛りつけた。
ただ気付きながら、すべて受け入れてみなさい。
風が雪ぐのにまかせるなら、纏わずとも世界は十分に優しい。
その風があなたに触れて、包むのをゆるしなさい。
既に共にある。
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