「鯨は廻り鳥は渡る  花を離れ舞う一片  心の向かう場所へ  澱から飛び立つ時」



——風に乗る日

始まりが動きだした。
土の湿度は変わり、蟲らは目を覚ます。
花弁は離れ風に乗る。

門を越えた次の巡りの始まり。
準備の時は終わり、割れ始めた殻は戻らない。
橇は滑り出し、私たちはもう選択の段にいない。

連れていかれる旅ではないから。
舵はある。意思もある。転び方さえ選べるけれど、
最後の一歩だけは自分で踏み出す他はない。

暗い冬を越え、見えざる根は適応した。
熱を出し、悲しみを溢し、ここにいることを許せたとき進むもの。
生命は動きだから、止まり続けることはできない。

生きることは動くこと。
心が揺れなければ、生命の振り子は振れない。
つかみすぎている手を緩め、始まりに己を解き放つこと。

鳥が風を捉え、クジラが流れに乗るように。
変化そのものに重なりつながるなら、
あるべき時に、あるべき場所へと辿り着く。

見えない風の押す勢いで未知へ跳ぼう。
命の風が押し広げる方向へ、三月の風が軽い羽を運ぶだろう。
どうか曇りない心のままに。


一 3月1日 ピアノ予報より 一






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