素晴らしい…
釉薬の濃淡で色調統一されたグラデーション。
丹念に浮き彫りされた花模様。
何より目を引く、有田のホタル花彫。
(中身が透けて見えるよう工夫された彫と塗りの細工)
まさしく有田焼の逸品。
急須と合わせ、湯飲み十個の完全一式。
箱が古くてぼろぼろだが、見た所未使用品…
先代の急須が割れてしまったので、新しいのを探していた折、銀行と郵便局で用事を済ませた帰り道。
いつも立ち寄る古道具屋での出会いでした。
乱雑に折り重なるような箱の下の方、わずかに見えていた陶器の淡い色。
手にとって見れば、なんとも私好みの色、風合い。
これほどのものが売れずに残っているとは。
これは買いには違いないが、さて、いくらになるものか。
今日の店員は若い。店長は不在のようだ。
交渉するなら今を措いて他にない。
ざっと見たところ、市場売値で少なくとも一万からそれ以上。
リサイクル売値としてもまぁ、二千~三千五百円あたりが妥当か。
箱と保存状態を持ち出して、千円から上限千五百円程度に交渉できればまず上々…
それとなく店員に持っていくと、さほど興味もなさそうに、
「箱がずいぶん傷んでますね、二百円でいいですよ」
まじで!?
湯飲みは正直そんなに必要なかったが、そこで下手に交渉すると相手に気づかれる恐れがある。
そこはこちらも何食わぬ顔で。
「じゃぁそれで。消費税は必要ありませんか」
「えぇ、二百円でけっこうです」
「あ、袋はいいですよ。このまま持って帰りますんで」
「ありがとうございましたー」
店から数メートル離れたところで、たまらず押し殺した笑みがこぼれる。
こういうことがあるから、古物漁りはやめられない。
ほくほくしながら、来た道を帰る。ふふふ。
「有田焼急須ゲットだぜ!!」
ああ、今日もいい日だ。
満足。
ちなみに私の買い物ポリシー。
「迷う理由が値段なら買え」
「買う理由が値段ならやめろ」
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