ナヌーの星



朝から手嶌葵の「奇跡の星」の唄声にやられた。

それから何かが胸の奥に宿り、ずっと小さく温かな灯を燈し続けていた。

原点だった想いを、思い出している気がした。
この胸の感じを、ずっと知っている。
とても馴染み深い、私の魂の本当の色。

世界が少しだけ、明るく輝いて見えて、
奥深くでつながっていることを感じて、そばにあった桜の樹と対話してみた。


その時、あなたはもう一人の私(※)っていう言葉の意味がわかったんだ。


 北極の白熊や、桜の樹や、隣の誰かの痛みを、
 己の傷をかばうように、自然にそっと手を当てること。



私達は、同じものの別の顔。それぞれ別の表現としての側面。
あなたはわたしのもう一つの顕れなんだって、理解できた。

だから、あなたに触れることは、私が私に触れること。
「私」はきっと、とても大きい。
私たちはその認識を、広げたり狭めたりすることで、世界の捉え方を変えている。

大きな枠組みや生命に触れたとき、それを思い出す。
自然に生きる、とかもきっとそういうこと。
自分の生命の広がりと深まりを知っているということ。

以前瞑想中に、”あなた方は宇宙の種である”と言われたことがある。
”あなた達の一人一人には宇宙の全てと同等の価値がある。
果実(種)がその中に、その樹の総体を含むように。”(メモ抜粋)

太古から叡智を受け継いできた先住民族にも、よく似た共通する考え方がある。

※インラケチ、「In lak' ech 」
=メキシコの先住民族マヤ族に伝わる言葉。
「わたしは、もうひとりのあなた」「あなたはもうひとりのわたし」

※「ミタクオヤシン」
=アメリカ先住民族ラコタ族の言葉で「私とつながるすべてのものへ」


そして、感情に理解が伴うと智慧になるのだとおもう。

たしかにあの時、桜の樹の中に、”私”を感じた。
みんなつながっている、だけではなく、みんな同じ一つ、
というのが多分実感として正しかった。

だから、優しい気持ちになれた。
己の傷に自然に手をそえ庇うように、
当たり前にこの星の痛み、他の命の痛みに手を添える。
そんな気持ちが、とても自然にわいてきた。

こうしなきゃ、ではなくて。
それが当たり前だから、痛いから、そこに手を当てる。
生命として、それは正しい反応の気がした。

何だか自分のしていることに理由が要らなくなって、とても楽になったのだ。
そういうことなんだな。
この星や他の命と共に生きようと、自然に思えた。

ようやく”心”の部分が、ここにグラウンディングできた。
どこかで、体を持ってこの星で生きることに同意できたのだ。
こう書くと奇妙に感じる人もいるだろうけど、いつも心の半分は別の場所にあったから、ちゃんと自分が根差すものを見極めて、ここに意識的にいるために、ずっと納得したかった。
それは与えられた理由ではなくて、自分の認識を広げることで、辿り着かなければ、到達できないから。

だから、下に紹介する「ナヌー」の星は、私の星。

どんな傷も、痛みに気がつけたら、きっと治る方向へ目を向けられるから。
痛みは、自分は傷ついているということを、伝えるためのものだから。
知っていくこと、伝えていくことは、それに気がついた細胞と神経の役割。
それらがつなぐ情報と痛みが、きっとバラバラだと思っている個々の細胞同士を、
一つのからだに統合していく作用になる。
信頼していこうと思う。私とつながるすべてのものを。
(ホー・ミタクオヤシン)








日記に伴って、いくつか作品をご紹介します。


北極のナヌー」(※主題歌:手嶌葵の「奇跡の星」)


<アル・ゴアのコメント>
あなたは白くまとセイウチが自分たちの置かれた環境、そして気候の変化でもたらされた更なる危機に立ち向かっている姿を記録しながら、15年間も北極で過ごすということを想像できますか?
フィルムメーカーのアダム・ラヴェッチとサラ・ロバートソンはそれを成し遂げ、そしてその作品を今年最も美しい映画として完成させました。
「北極のナヌー」はシーラという幼いセイウチと、ナヌーという白くまが生まれ、やがて親になっていく過程を追った作品です。日々に直面する困難に加え、地球温暖化によって彼らのホームである海氷は過去半世紀で30%も減ってしまいました。海氷では白くまは狩りをし、セイウチは海から上がって休みます。海氷がなくては、彼らは北極という荒涼とした環境で生き残っていくことはできないのです。
私の娘クリスティンが脚本を書くお手伝いをしました。この映画は心温まるユーモラスな作品であると同時に、気候の危機が地球にもたらしているダメージを偽りなく活写しています。
もしあなたが週末に家族全員で観る映画を探しているなら、「北極のナヌー」が間違いなく満足させてくれるでしょう。

アル・ゴア



そして、そのゴアさんがノーベル平和賞を受賞したときの講演映像です。
(地球温暖化を真剣に伝えた映画「不都合な真実」の製作者(元米国副大統領)
5分程度です。ぜひ観てください。


 






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