不死のクラゲ




週末は「龍宮の宴」です。

江ノ島水族館を借り切ってやる、ヒーリングイベントです。

今回はパフォーマンスも多々あって、それもクラゲファンタジーホールで行うそうです。





昔から水族館で一番好きな生き物はクラゲでした。

とくに深海にいて光るやつが好きでした。

今日はふと、そんなクラゲのことを考えていました。



水みたいで、ゆらゆらしていて、漂うままに生きていて、そしてやってくるものを頂いて、ときには他の動物に食べられ、死ぬと溶けて水に還る。

なんて無駄のない美しい生き方。



何年か前、ある種のクラゲは不死なんだという話を聞きました。

確か地中海の方の洞窟にいて、体が傷ついたり老いたりすると、硬くなって海底に落ちて、それが次の種となって、植物のような芽が生え、実り、一部が切り離されてまたクラゲになって…

そんな風にして、繰り返し生き続ける生きものがいると。

その洞窟にはたくさんの美しい、クラゲの水中樹が生えていると。



そんなお話でした。





その話を聞いた時は「火の鳥」の宇宙編を思い出しました。

重大な罪を犯した、宇宙飛行士マキムラが、火の鳥に出逢い、永遠の命を与えられて、繰り返し老いては若返り、終わりのない償いを続ける…

子供時代に刻み込まれた忘れがたい映画です。

(確か共にいた女性が、母乳を出すサボテンのような姿になり共に生き続けたような)

とても不気味な後味を残す物語でした。



不死の体というのはどういう感じなんでしょうね。

日々どんなことを思うのか。(クラゲは多分あまり深く考えずに生きられそうですが)

記憶を携えたまま次の体を生きるのだろうかとか。

生が物理的な連続性を持ってしまったら、過去の過ちはリセットされないのかとか。



そういった意味では、僕達も体こそ移り変わっても、その魂の連続性は失われないわけだから、記憶のあるなしに関わらず不死と言えるのかもしれませんが。

生きものというのは、当たり前だけど命の形で、生命はそれ自体が計り知れないことの結果で…

うまくいえないけど、ここに在るってすごいことなんだなぁと感じます。



クラゲをはじめ、海の生き物は、何かとても異質で、全く別の何かに、その存在が立脚しているような気がして、昔から近寄りがたいものでした。

(その意味では昆虫とかもあまり意思疎通できる感じがしないのですが。植物や鉱物は遥かに意識を通わせやすいのに)

しかし最大の動物も、最長の動物も、最古の動物も、皆、海の中にいます。

多分、海が生命の本質と、その源により近い場所だからかとも思いますが。



乾燥して仮死のまま、何年も、ときには何百年も過ごす事の出来る動植物がいたり。

そうして後、生き返ったとして、彼らの意識はかつての彼らのままなのか、別の存在なのかとか… 生命について考えると思いが尽きません。



そう思うと、生命というのは本当に、物理的な体のことではないんだなと思えて、それが一番核心に近い手応えがあります。

そしてその本質的な生を、今ここに生たらしめているものがきっと体なのだなと思えるのです。



多分、体は、遠くに行って帰ってきたときに住む家みたいなもので、一旦、生を離れてまた体に帰ったりすることもきっとできるのでしょう。

昏睡から戻ることのできる人がいるように、そういった仕組みを持つ生き物がいても普通のことなのかもしれません。

人が夜眠らなければならないのは、そういった霊と魂と体の統合と調整に必要なものだとも言われてます。

そして、思いでしか辿り着けない場所があることも僕は知っています。



多分、そういうものを知りたくて、この生を続けてきたんだなとも思います。

いつか本当のことに辿り着けるといいなと思います。



そんな午後のヨシナシゴト。











気になったので調べてみました。

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Turritopsis nutricula

ベニクラゲ(Turritopsis nutriculaは学名)



日本の沿岸にも生息するクラバ科ベニクラゲ属の刺胞動物の一種で、有性生殖する世代のクラゲから、また無性生殖する世代のポリプに再生するという、老死しないようなライフサイクルをもつことが確認されている動物種の一つ

(ヤワラクラゲ - 学名: Laodicea undulata - が、同じく老死しないライフサイクルをもつことが確認されている)





他のクラゲは死ぬと溶けるようですが、ベニクラゲは口や胃、生殖器官のある赤い部分が残り、その後、海中の栄養分を吸収して細い枝状の「ポリプ」を伸ばし、半透明の若い体を再び作り上げます。

通常の生物は細胞分裂のたびに染色体が少しずつ短くなり「老化」します。

しかし、ベニクラゲは染色体の長さを戻す能力があるようです。



詳しく言えば、アメーバなどの原生動物を除く多細胞の動物はDNAの末端部にテロメアというタンパク質合成のためには意味のない配列部分が存在し、細胞が分裂するごとにテロメアが短くなっていきます。

そして分裂を繰り返すうちにテロメアが短くなり、これ以上分裂できなくなります。

すなわちこれが本当の意味でのその生き物の寿命です。

ただし、生殖細胞が出来るときにはテロメラーゼという酵素のために、テロメアがリセットされるので産まれてくる子供はテロメアのカウントダウンがゼロから始まります。

つまり、生殖細胞を使わずに例えば20歳の時にクローンの子供を作っても、その子供は20年分のカウントダウンされているので長生きしません。



ベニクラゲの場合は、他の生物と同じように、基本的にはカウントダウンされて行くのですが、寿命を迎えるとテロメラーゼを分泌し、一部の細胞のテロメアがリセットされてテロメア部分のみが再生されたクローンが出来るというカラクリです。

つまり不老不死なのではなく、老衰すると一部の細胞がリセットされてクローンが出来るようなイメージです。



「幼生→成長→生殖→若返り→幼生」を延々と繰り返しているみたいです。

もちろん、事故や、捕食などで、個体が失われることはあるでしょうが、逆に言えばそうでない限りは繰り返し生き還るわけですね。





【参考】ベニクラゲ研究室









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Praya dubia

マヨイアイオイクラゲ(Praya dubiaは学名)



(群体であるが)世界最長といわれているクダクラゲ目の刺胞動物の一種。

40m以上の長さのものが確認されているのだそうな。







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Arctica islandica

アイスランドガイ(Arctica islandicaは学名)



知られている(老死する)動物で最長の寿命をもつとされている二枚貝。

220年が公式に認められている最長の年齢だったが、最近、400年の年齢だったと確認された貝殻が発見されたとのことである。



しかしそんな貝たちも普通に捕まって、クラムチャウダーにされちゃったりしてるみたいですが。

人間に捕まらなければとも思えますが、それも自然の掟。

ひょっとしたら人の与り知らぬところで、1000年や2000年生きた貝がいるかもしれません。



蜃気楼も大きなハマグリの吐く息だそうですし、そんな貝がいてもおかしくないのかも。

(昔の中国には「蜃(しん)」という大ハマグリがいて、その「蜃」が吐く息の中に楼閣(高い建築物)が浮かんで見えたという。 『史記』天官書より)







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Polypedilum vanderplanki

ネムリユスリカ(Polypedilum vanderplankiは学名)



名前の通り、乾燥した無代謝状態で何年も生き延びる永久的休眠(クリプトビオシス)ができる昆虫(脳、神経、消化器官、循環器官等を備えている)で、乾燥幼虫は-270℃の低温や100℃の高温に対しても耐性がある。







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ベニクラゲ / 動画1動画2















 

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