波乗り宇宙論







先日、野見山文宏さんという方のお話を聞いてきた。

以前知り合って、一度ゆっくりお話したいなと思っていた方だ。



感じてわかる!セラピストのための解剖生理」という分かりやすい本を書いている。

普段は伊豆で自然農やサーフィンをしながら、解剖学の講座や鍼灸やボディワークの個人セッション等をしている方。



野見山さんの話の中で、いくつかインスピレーションをもらった。

お話の内容は、なぜその生き方をするようになったのかという、前半の自伝的な部分と、その自然に沿った生き方の中で学んだ智慧のシェアだった。

そのマスタリーマインド(達人の意識)の考え方について、感じたことを忘れないうちに書いておく。



結論から言えばお話の概要は、農も身体もサーフィンも、自然を扱うということ。

そしてその自然、宇宙は制御できない。

だから自然に沿わせて自らを研ぎ澄ましているしかないということ。



マスタリーマインドとは抗わないこと。

言い換えればそれは、コントロールしないで生まれる何かを意識的に扱う心の保ち方。

つまりマスターの意識の本質とは、プレゼンスであるということ。



伝説的なサーファー、ジェリー・ロペスが波に乗るとき、彼は全てと調和して、まるで波の上で瞑想しているようだと表現された。(写真↑)

そしてそれはおそらく正しい。



極められた全てのスポーツはそうだが、サーフィンは特に瞑想的な行為だ。

そこにはプレゼンス(今、ここという体験)が不可欠だ。



プレゼンスの代表的な兆候である、サイレンス(静寂感)、スティルネス(静止感)、ノーマインド(無思考)、ノータイム(無時間)、ノーシングネス(空)は、アスリートのいう「ゾーンに入る」という状態に似ている。

プレゼンスは瞑想を極めた時、あるいは仏陀のいう悟りの状態とも言えるが、それは全てと一体であるという感覚を伴うという。



自他の区別がなく、宇宙と自分がすべて繋がり、一体であるということ。

そしてそのとき完全な調和がもたらされる。

それこそがマスタリーマインド(マスターの意識)だ。




例えるなら、海は宇宙そのものだ。

平面的な水面の下に、海は巨大なエネルギーとポテンシャル(可能性)を含んでいる。



そのエネルギーが実際に水面に作用するとき、波として実体化する。

海にポテンシャルとして潜在していたエネルギーが、リアリティを持って、目に見える形に実現化する。



そしてその波が、最もエネルギーを持つのは波の一番上、波頭の部分。

ここがエネルギーが最も強力に現実化するポイントだ。

宇宙に潜在する巨大なエネルギーが、現実化し続けている一点。

優れたサーファー、マスターはこれを捉える。



だが波のエッジである、エネルギーポイントに至るまでは、サーファーは当然自らの力で漕がなければならない。

これは努力なしに全てが実現するわけではないということ。

その宇宙の最高の力を捉えるためには、常に意識を研ぎ澄ませ、自らを自然に沿わせて準備していなければならない。



しかし一度、そのエネルギーポイントを捉え、波に乗ったならば、マスターは全てを手放す。

我やコントロールを持ったまま、自然に向き合うことはできない。エゴを前に波に立てば、自然の力に容易にひっくり返される。

その自然のエネルギーポイントを捉え、そこにあり続ける力こそがプレゼンスであり、宇宙の力に乗り続ける大いなる秘密だ。



それは瞑想と呼ばれ、無為自然と呼ばれ、マスタリーマインドと呼ばれる。



「コントロールしないで生まれる調和を意識的に扱う」

これは一生かかって探求するに値する最高の遊びだ。



なるほど、地球は神の遊び場で、神は私達を通して自らを体験する。

よいテーマを頂いた。感謝です。





ありがとう。















 

1 件のコメント :

  1. サーフィンにはそんな側面があったんですね。
    知りませんでした。

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