湿度ある孤独



夢を見た。
夢の中でしか会ったことがない、けれどとてもよく知っている感じのするあの人がいた。
あの人が夢で側に居てくれるときは、なんだかシットリとした懐かしい孤独が伴う。
この愛しさを覚えるような湿度ある孤独を、多分私はよく知っている。

それは愛と同じものの表裏。
光を見るか、その不在を見るかという違い。
その感情はより大きなものの一部で、私はその中からすべてを見ている。
雨に打たれることが時に心地よい悦びを伴うように、抜けそうな歯の疼痛が甘やかさを孕むように、矛盾する二つの色を同時に見ている。

この感覚はきっと生まれてきた理由の一つなんだろう。
私達はどちらの極も知らなければ、置かれた構造を越えて世界を愛せない。
愛して理解するまで、理解して愛せるまで葛藤は続く。
だけどきっと、ただそれだけのこと。


生まれる前の魂たちが、最も体験してみたい感情は切なさなんだそうだ。
大いなる愛の源の中では、分離しているという体験が出来ないから。
僕等はまだ、醒めない夢を見続けていたいだけなのかもしれない。



 

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