名付けえぬもの

 「翻訳出来ない世界のことば」という本を読んでいる。
私は基本言葉屋なので、こういう感覚がとても好きだ。
内にある名付けえぬ何かを、雲をこねるように取り出して、名付けた人がいたのだ。
きっと溢れる伝えたい気持ちを、この美しい世界で誰かと分かち合いたくて、形を、名を与えられた想いがあったのだ。
いくつかご紹介したいものがあったのでここに転記する。



ヴァルトアインザームカイト (ドイツ語 名詞)


ウブントゥ (南アフリカ ズールー語 名詞)


ヒラエス (ウェールズ語 名詞)


カフネ (ポルトガル語 名詞)


マミラピンアタパイ (チリ ヤガン語 名詞)



森の中を一人歩くときの、広がって透明に純化されていくような孤独感や、あえて言葉にしないけれども、あなただけには伝わっていることを知っているという信頼感に、あえて名前を付けた先人に感謝します。
世界はこんなにも多様で、こんなにも同じ気持ちに満ちている。
私たちを通して繋がる、見えないけれど共有された意識は、こんなにも彩りに満ちている。
私たちのいる世界にはきっと、まだ見ぬ名づけえぬ美しさや、知らない気持ちがたくさんある。

ちなみにこれを書いているとき、頭の中で鳴っていたイメージBGMはこちらでした。
いつもこの気持ちは何だろう、という感受性を忘れないようにしたい。



「春に」谷川俊太郎




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