風と土と生きるリトリート 第1回 


屋久島に移り住んで一年余りが経ちました。
時に荒々しい顔を見せますが、本当に美しい島です。

自然と共に生きるという言葉は一見さらっと美しく聞こえます。
そこには自分をヤスリで磨かれていくようなある種の苛烈さと、自分の本質を試されるようなどうにもならない裸にされる感じがあります。

何かに覆われながら、隠れながら、自分の人生に参加せず生きることを自然は許してくれません。
それは彼らが文字通りありのままで、何も覆わずそこに在るから。

外の世界、環境は僕らの鏡そのものです。
だから自然の中にいると、ただ自分がそこにいるだけで、自分は今どうであるのかに向き合わざるを得ないのです。

自分に嘘をつかずに正直に生きるというのは、思いのほか怖いものです。
それでも僕らは心の一番正直な願いを、無視したまま生きるのは苦しい。
だから道のない道を、心の舵に引かれながら、でもブレーキを踏みながら生きている。

僕らは結局、いつそれをするのかしか選べないのだと思います。
どんなに閉じていた種子も蕾も、いつか内なる命の力に負けて開いていくから。

本当に魂に従い生きるということを望むなら、その先が見えなくても踏み出す時が来ます。
その時、何を頼りにしたらいいか、自らの中に指針を持てる人は幸いです。

それらの答えは、僕が知る限り自然が教えてくれます。
魂とは内なる自然です。内にある本当の姿です。
人の内なる自然を知りたければ、外にある自然を見れば、自ずから理解出来ることが必ずあります。

そこに誠実に向き合って、真っ直ぐに自然と生きている人々に屋久島で出会いました。


一人は俊三さん。僕がさん付けで呼ぶと嫌がりますが、自然とそう呼びたくなる人。
同世代で気さくな人なんだけど、とても真っ直ぐに地に足をつけて生きている。
心が大きくて、足元と遠くをちゃんと見ていて、自然と共に生きるを体現している人。

同じものを見ている仲間感がある人って、僕は無条件に心が開くのだけど、動物が懐くように一緒にいて寛いでいられる人。
エコヴィレッジ 「aperuy」の代表。光を灯すという名のアイヌ語だそうです。


もう一人は今西さん。
こちらはうちのパートナーの久美子がやっている環境再生のお仕事の指導者。
大地の再生や環境再生という自然を扱う土木の分野があるのですが、その中でも独自のやり方である種の到達点に至った人。
その技術と知識の高さは、真にプロフェッショナルな特殊技術を持っていると感じさせます。
この人は多分、世界の美しさを伝えたいということに本当に真剣な繊細な人。


いずれも地球と向き合うプロフェッショナル達です。

今回は僕と久美子と俊三さんが組んで、風の杜(仮)というチームを立ち上げました。
第一回は環境再生の今西さんを招いて、ワークショップリトリートを行います。
自然と立ち上がったこの企画が、なんだか大きな樹の苗木のように、僕らを乗せて大きく育っていくような気がしています。

本当に伝えたいことがたくさんあります。
でも言葉では伝えられない、伝わりきれないものが沢山あって、だから体験を通して知ってもらいたい。
今西さんの自然への眼差しや考え方、俊三さんの生き方や創り出したいもの。
僕らの目指す在り方やライフスタイル。新しい地球とそこに生きる形。

僕らの示し得るものは決して完成された答えではないけれど、これらのうちの何か一つでもが、きっと誰かの生きる役に立つと信じています。

その先につながる未来が、地球を美しい星にしていくことを願って。


2022年旧暦新年元日




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風と土と生きるリトリート 第1回

日時: 2022年2月18日 3:30~2月22日 10:00
場所: aperuy


このリトリートでは環境再生のトップランナーである今西氏と山に入り、山の循環について学び、その循環を小さなフィールドに造っていきます。
今回選定した場は4年前に「大地の再生」で矢野氏によって環境改善が大規模に入った屋久島エコビレッジ「アペルイ」です。

自然環境に配慮したフィールドの整備を続けて8年。近年のパンデミックでこれからの生き方を模索している若者たちがここ3年ぐらいエコビレッジによくやってきます。
彼らを受け入れ、共に種を植え、家を作りながら、持続可能な循環型の暮らしを共に実践してきました。

屋久島を訪れる旅人から投げられるある共通の問いがあります。

「どうすれば自然を壊さず心地よく生きられるんだろう?」

「あるがままの自分を生きるとはどういう事なんだろう?」

それは、目には見えないけれど確実に存在している「風」に着目すると、心地の良い答えがはっきりと見えてきます。

心地いい風が吹き込んでいる屋久島の原生林
谷筋を流れる川に吹く涼気
空気のよく通ったフカフカの畑
山も沢も土の中も空気が流れて風が吹いている場所は不思議ととても心地いいものです。

反面、高層ビルが立ち並び、アスファルトで大地が締め付けられた森のない都会や、壁面がコンクリートで覆われてしまった河川では、異質の風が吹いています。

自然の風と都会の風がなぜここまで違うのでしょうか。その謎を読みとく知恵と感覚が身につくリトリートになるでしょう。


その世界に私たちを誘ってくれるのは、造園・土木の職人である今西友起氏です。
水や空気の循環、土の中の菌糸や微生物の働きといった一般の人が普段は注目しない世界をとても重視している人です。
今は、全国から引っ張り凧で声がかかり、環境改善の活動で全国各地を飛び回っています。
自然を治す世界では今、トキの人です。

屋久島の人気の秘密は目には見えない風にあると私たちは思っています。その風はどうしたら私たちの住む里にも吹いてくれるのでしょう。その方法をわかりやすく教えてくれ、この目には見えない存在をわかりやすく見える化してくれるのだろう。
そう思いを巡らせている中で頭に思い浮かんできたのが今西氏です。
彼のことを理解する上でとてもわかりやすい記事がありますので、以下引用させていただき紹介させてもらいます。

...


「森の中というだけで熊野古道は気持ちがいいんですけど、地面を見ると傷んでいますね。多分、定期的にお寺の人が落ち葉を掃き落としていると思います。歩きやすいようにという気遣いなんでしょうけど、そうすることで地面が直接雨に叩かれる。すると、シルト(粘土より粒子の大きな土)が周囲に流れ、土の隙間に詰まってカチカチになってしまう。シルトは斜面を降りて川にまで流れて行くから、そこでも目詰まりを起こす。こうして山全体の水の流れが滞っていってしまうんです」

石や根っこの間に見えている土に触れてみると、確かに固く引き締まっていて、指が入る気配がない。そういう土壌は酸欠状態になるので、木の根が空気を求めて浮き上がってくるのだと言う。登山道の木々や街路樹の根が地上にせり出しているのをよく目にするが、それは木が苦しんでいる状態だというわけだ。私たちが普段何気なく見ている光景には、土中環境を知ることのできる多くのヒントが詰まっている。


...


リトリート中、この感覚をたくさん学ぶことになります。その中で、先に挙げた

どうすれば自然を壊さず心地よく生きられるんだろう?
あるがままの自分を生きるとはどういう事なんだろう?

きっとその答えが見つかると思います。その答えはきっと一人一人違うものだと思います。


参加者の皆さんそれぞれがその気づきを十分得れるよう、多彩な5名のスタッフでこのリトリートを共創していきます。

✴︎大地の再生を学んできた貫山久美子が今西氏のアシストをしながら理解がより深まるよう促します。

✴︎カウンセラーである貫山貴雄が、心のソフト面をケアします。

✴︎田中阿弓と加藤貴美が休息する宿と食事をオーガニックで整えます。

✴︎現地ガイドである田中が安全を確保しながら深く自然とつながれるようバックアップしていきます。


この旅の後、以前と同じ風景を新しい目で見られるようになっているはずです。その新たな視点でみなさんがどんな世界に踏み込んでいくのか、リトリート後も仲間として絆を深めていけるような関係を今回のリトリートで築けたら幸いです。


屋久島でスタッフ一同お待ちしています。




【風と土と生きるリトリート】


【日時】
2月18日(金)夕食~2月22日(火)朝食まで

【宿泊先】
エコヴィレッジアペルイ
〒891-4311
鹿児島県熊毛郡安房2480-120

【ツアー内容】
18日 夕食(参加者、スッタフ共に)
19日 今西氏と共に山歩き
20日 今西氏環境再生講座@アペルイ
21日 アペルイ田中のガイド
   で自然の中へ
22日 朝食・感想シェア会
※空港・港、アペルイ間の送迎はこちらで行います。

【持ち物】
山歩き用
ザック・雨具・靴・帽子・手袋・着替え・タオル・水筒・行動食・携帯トイレ・常備薬・保険証のコピー

講座
手道具(草刈り鎌、移植ゴテ、剪定ハサミ)・軍手・タオル・筆記用具
※長靴はこちらで用意しますので、サイズを教えてください

【食事について】
18日夕食から22日朝食までご用意します。
屋久島産のオーガニック食材が中心の食事になります。

【定員】
10名(最低開催人数3名)

【料金】
¥148,000(宿泊・食事代込み)
現地集合・現地解散
屋久島までの移動交通費は含まれまません。

【参加お申込み・お問合せ】
kaze.mori.2022@gmail.com
担当:貫山久美子
※直接の電話での問い合わせ先は上記メールへの返信に記載しますので、まずはメールにてお問合せください。



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今西友起プロフィール
1981年三重県伊賀市生まれ
学生時代は陸上に打ち込み、土木の世界に入る。現代土木のやり方に疑問を抱く中、庭師の高田宏臣氏に出会い、土中環境に対する捉え方を学ぶ。独立後も自然科学を学びながら自然と向き合い続けている。水や空気の循環、菌糸や微生物の動きを重視した環境改善活動で全国を飛び回っている。併せて、石場建て工法による建築の普及にも努めている。

今西氏を書いたWEBマガジンの記事
https://www.hinagata-mag.com/think/46016



[主催者]
田中俊蔵プロフィール
1977年東京生まれ。高校を中退しバイクで日本を巡ったときに自然の魅力に取り憑かれる。山のガイドは東北の栗駒山で、海のガイドは伊豆で学び、2008年に屋久島に移住しガイド業を開業。屋久島で農ある自給的な暮らしを創造しながら、自然の中で生きる心地よさを伝える志事をしてます。映像&写真家。トレッキング、沢登り、カヤック、スキンダイビングのガイド。
屋久島エコビレッジ アペルイHP https://aperuy.com



貫山貴雄 プロフィール
1977年フィリピン・イロイロ市生まれ
十代の頃より「本当のこと」を見つけたくて魂の勉強を独学。
2003年より人と地球の癒しとシフトアップを目的とし、人々が各々の本質に気付くためのお手伝いを、個人セッションやワークショップ、執筆を通して行っている。
ヒーリングスペース旅人の樹主宰・サイキックヒーラー・カウンセラー。
2020年 屋久島に家族で移住。
旅人の樹HP http://tabibitonoki.org 



貫山久美子 プロフィール
1981年佐賀県生まれ
都内大手住宅メーカーの建築士として働いていたが、妊娠・出産を機に働き方含めライフスタイルに疑問を抱く。
そんな中、矢野智徳氏に出会い、大地の再生を学び始める。
2020年 屋久島に家族で移住。
地球と意識を合わせて生きる、大いなる循環の一部になる。生き方と活動を通して、現在屋久島にてその実践を模索中。







風の通る風景

旅の目的は新しい風景を見に行くことではない。
以前と同じ風景を、新しい目で見られるようになることだ。

それは風が庭を造る作業に似ている。
人の中には気血が廻る道があり、同様に大地の中には水と空気の通り道がある。
水が廻り、風が通る大地には生命が息衝いている。

この小さな大地に触れてみること。
そこに風を通すとき、活き返る小さな命がある。

きっとあなたの中にも甦るものがある。
あなたの中を通る風が、自分を止めていたものを押し流すかもしれない。

風の吹き抜ける道を見に行こう。 

内と外をつなぐその道が、あなたをより大きな螺旋へと導くだろう。

山中の生命に耳を澄ます。風の描く世界に触れる。
全ての感覚を開くと、土や木、岩や水と人をつなぐ大きな巡りがある事に気が付く。

大いなる循環の中にあって、自分をとても小さな存在だと感じるとき、人はより大きな存在の一部になる。
ただ世界を映す透明な雨の一雫のようであれば、私たちは世界を巡る風の一部であることができる。
自分の小ささが、より大きな世界へと私達を導いていく。

これは自分の中に風を通す旅だ。





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