黒帯をいただきました。
屋久島に来てからご縁で始めた空手でしたが、ありがたいことに僅か一年と十ヶ月で締帯を許されました。
武術家の最低スタートラインを許されたという認識で精進します。
私が習ってる岡本克己師匠は少し不思議な方です。(達人の類は大体そうですが)
幾つかの武術を渡り歩き、最終的に剣道の足運びと空手を融合した独自の流派を立ち上げたそうです。
徹底合理を旨とする実戦派です。
齢72歳を過ぎてなお、敵う気がしません。
来ると分かっている拳に触れられず、こちらが一撃打つ間に四撃くらい返ってきます。
また、カタカムナの探求家でもあります。
80首余りの古代語の歌を全て暗唱できる研究家は日本でも屈指なのではと思います。
カタカムナウタヒを聞かせて育てる彼の畑からは、誇張ではなく私の知る限り世界最高品質の野菜が採れます。
空手の型に合わせて、カタカムナを唱えながらトレーニングする道場もおそらく他にないでしょう。
流名を空剣空手道といいます。
空の剣を持って拳と成す武術です。
見えない剣を持って斬り合う剣道というか、ほぼ二人しかいない道場には文字通り真剣な斬り合いの緊張感が張り詰めています。
丁寧だけど、ヒリヒリして甘さがないのが私の好みです。
師匠に言わせると、物事の起こりと元を知ることが、理を知ることに繋がるそうです。
物事は現象に起きる前に、潜象界に生じている。
このまだ見えていないヒフミを知ることが、現象を制する事だ。
相手のヒフミを知り、現象を観る前に流れに乗り、それを制せよ。
要約するとこういうことのようです。
思考ではないところで知れ。
所謂考えるな感じろということなのでしょう。
達人の言う身体感覚を体に落とし込むのには時間がかかります。
今日初めて組手の中で、師匠から一本取りました。
何かは感じ取っていると認めてもらえたようです。
生きるか死ぬかの真剣なやり取りって楽しいよねって思い始めたら、立派なジャンキーですね。
ヒリつく感受性は生きている実感の彩りだから、老いてなお尖っていく美学も悪くないなと思います。
そういえば昔、人生で達成する100のリストというのを書いたとき、その中の一つに武術の達人になるという項目があったのを思い出しました。
その始まりくらいには立てたのかもしれません。
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