旅の理由


明け方四時の横浜の空は既に柔らかなグラデーションで、この夜の色彩が静かに吸い取り紙に吸われていくような時間帯が好きだ。
もう車や徒歩の人々が動き出している気配がする。
都会の朝だなと思う。

いつも暮らしている屋久島の経度はもっと西なので、きっとあちらの風景はあと30分はまだ眠ったままだろう。
地球の回転を感じながら、刻々と色を変えていく景色を見ている。
世界が目を覚ます直前は、何処にいても美しかったな。


10日後にはトルコにいる。
西アジアは初めての場所。
どんな人がどんな生活をしているのだろうか。

生きることは生活することだ。
それはただの日常。
非日常に触れるのが目的ではない。
異日常を味わいたいだけ。
そうやって深まって、静かに自分の中に降り積もっていく景色の断片が、キラキラと生を反射する豊かさになっていく。

硬水を沸かすと鍋に付く炭酸カルシウムを落とすみたいな、生活の中で溜まる澱を濾すような、旅はそんな儀式だ。
澱と檻は音以上に似ているのかもしれない。
澱が閉じ込めてきた檻を破るために、行ったことのない場所へ行く。
人生が多様であることを受け入れて愛せたら、少しだけ怖くなくなる。

長毛種の猫の毛を引き伸ばしたような雲がたなびいている。
季節の分からない風の色は、自分の足の向かう方にただ自分が向かうのを許してくれている気がする。
小さな不安と小さな期待の内混ぜの感じ。

きっとこの小さな不安が、人と人とを結びつける磁力なんじゃないかなと思っている。
僕らを結びつける、小さくて大きな力。
たとえ自分が行きたい場所と、宇宙が連れて行ってくれる場所に違いがあったとしても、多分それでいい。
ゆだねるというのは、誰かに決めてもらうことではない。
自分の決めたように生きた結果が思惑と違っていたとしても、それを愛せることだ。



昨日から旅準備兼ねて関東に来ている。
今日明日は葉山でお仕事予定だったけど、どうもスケジュールが空きそうなようだ。
明日16日は秋谷というところにいるので、神奈川の葉山、逗子方面で個人セッションを希望される方がいたら飛び込み可能ですと、メンションしておく。
そういう急に繋がるご縁は宇宙の連れて来てくれたお仕事だから、ともすれば最高のものが生まれる機会になる。
だからセッションは楽しい、これもまたジャーニー。
一人では生まれない美しさこそ、私たちがバラバラに生まれた理由だから。
この旅を楽しもうと思う。









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